「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
認知症の予防に欠かせないこと
【前回】からの続き 認知症を予防するには、「気力」が必要です。気力といっても、気合いで認知症を予防するという話ではありません。気力とは、何かを成し遂げようとする精神的なパワーのこと。
血液循環をよくするために、座りっ放しを避けて動き回る、脳を活性化するパズルや読書に励む、忘れっぽくなっても思い出そうとする努力を忘れない……。こうしたことを地道に続けるには、気力が欠かせません。
食事で病気を予防する
気力を生む原動力は、「食事」です。私が得意とする漢方の世界では、気力が衰えている人に出す薬は、その多くが食欲を促してくれるもの。簡単にいうなら、食欲増進剤です。
バランスのとれた食事で病気を予防することが、治療することと源は同じとの考え方である「医食同源」が基本の漢方では、食べることで気力が養われると考えます。これを「補気(ほき)」といいます。
食べることは運動と同じ!?
見方を変えると、食べることは運動ともいえます。食べ物をそしゃくすることが、いかに脳の血流を増やして認知症予防に威力を発揮するかについては、これまで本書で詳しくお話ししてきた通りです。日々の食事をおろそかにせず、大切にしてください。【次回に続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。