【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】
2010年代には大ベストセラー『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』で100歳ブームを巻き起こした医学博士・白澤卓二医師渾身の自信作『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。
人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。
現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指す方法論が満載です。

日本に生まれたことが、長寿に有利な理由とは?Photo: Adobe Stock

平均寿命のとらえ方

 現代の日本は、世界一の長寿国です。

 この一文だけを見ると、日本人は長生きだなと理解されると思います。確かに平均寿命は長生きする人が多ければ延びるのですが、そればかりではありません。

 平均寿命が長くなるには、いくつかの要因があります。まず、若くして亡くなる人が少ないこと。乳幼児が多く亡くなる国々では、平均寿命は短くなります。

 脳梗塞や心筋梗塞、がんなど、命の危険が脅かされる病気に対して適切な処置ができない環境であれば、それもまた平均寿命を縮めます。

 数十年前まではがんは不治の病でしたし、脳や心臓の血管が詰まれば、助かることはまずありませんでした。ところが、最近ではいくつかのがんでは早期に見つけられれば完治します。重要な血管が詰まっても、スピーディに処置すれば命が助かるだけでなく、後遺症を残さずに治療することも可能です。最新の医療が多くの人に適切に行われれば平均寿命は長くなります。

 日本は、誰もが必要な医療を受けられることも平均寿命が長い理由のひとつです。最先端の医療では保険が利かないこともありますが、望めば世界最先端の治療を受けることも可能です。

「人生100年時代」の問題点

 また、たとえ寝たきりになっても、医療や介護によって生き続けられる環境が、平均寿命が長くなる理由に関わっています。

「人生100年時代になった」と言われ始めたときに、寝たきりになる平均年齢と、亡くなる平均年齢との間に、数年のギャップがあることが活発に議論されました。

 平均寿命のデータだけを見ても、その年齢差は浮かび上がってきません。大切なのは、できるだけ寝たきりにならずに天寿をまっとうすること。本連載ではそのために不可欠な情報をお伝えしていきます。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。