【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】
2010年代には大ベストセラー『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』で100歳ブームを巻き起こした医学博士・白澤卓二医師渾身の自信作『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。
人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。
現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指す方法論が満載です。

現代人の脳が健康で長持ちするたった1つの方法Photo: Adobe Stock

目指すべき「長寿脳」とは?

 私が考える「長寿脳」の条件は、病理学的にいうと、脳の機能を邪魔する物質や、脳神経を攻撃するものが少ない状態を維持することです。そして脳が必要な栄養で満たされていることも貴重です。これらはおもに食べるものによって保たれます。

 もうひとつの条件は、これが意外と重要なのですが、ストレスのかからない脳の使い方をすることです。私の長年の研究と、これまで診てきた数千人の患者さんの様子、私自身の体験などから導き出した結論です。

 脳というのは非常に個性的で、人によってそれぞれに得意、不得意があります。脳に不得意なことを無理強いすると、ストレスを与え続けることになるので、不得意なことを無理して、我慢してやる必要はありません。逆に、得意なことはどんどんやって脳の個性を伸ばしてください。長寿脳になるかならないかは、その脳の持ち主の脳の使い方次第だと、私は確信しています。

脳は、得意なことに使うほうがいい

 私の例で恐縮ですが、私は小中学生のころから、算数や数学はできるけれど国語がまったくできない、根っからの理系タイプでした。そして60代になったいまでも、数字には強いけど言葉のほうは弱いという具合に、私の得意、不得意の傾向は変わっていません。もう少し言葉をなんとかしたいと思ったことがありましたが、訓練すればよくなるというものでもありませんでした。年齢を重ねたことが原因で言葉の理解や使い方が衰えてきたわけではなくて、そもそもの脳の個性として、言語に関することが不得意だったわけです。

 子どもの教育では、どの科目もまんべんなく学習することはある意味必要ですが、大人になってからも苦手なことに労力をかけるのは、脳を疲れさせるだけのことです。脳は得意なことに使ったほうがよっぽど得るものが大きいし、脳自体が健康で長持ちすると思います

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。