「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が明かす】<br />認知症を予防する「歯磨き」の方法イラスト:chichols

毎食後の歯磨きで
認知症を予防

【前回】からの続き 歯周病も虫歯も、予防するなら、やはり歯磨きを徹底するのが基本です。私は医師として患者さんと間近で接するのが日課ですから、毎食後の歯磨きを欠かしません。口臭で患者さんにイヤな思いをさせるわけにはいきませんからね。

さらに入浴時にも、湯船で身体を温めながら、電動歯ブラシで入念に歯磨きをしています。みなさんも、食事を終えたら、歯磨きをするようにしてください。歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロスも必要に応じて使うようにしましょう。

なぜ朝起きると
口のなかがネバネバする?

歯ブラシだけだと、歯の汚れの60%ほどしか落とせないそうです。寝ている間は、歯周病菌の活動を抑える「唾液(だえき)」が減っており、その分だけ歯周病菌が増えています。自覚症状で起床時に口のなかがネバネバするのは、歯周病菌が増えているサインの1つなのです。

そのまま起き抜けに水を飲んだり、朝食を食べたりすると、夜の間にため込んだ大量の歯周病菌を一緒にのみ込む恐れがあります。朝起きたら、顔を洗うときに口を軽くゆすいでおきましょう。

歯石ができるメカニズム

歯周病菌には、「プラーク」(歯垢=しこう)と呼ばれる“すみか”があります。1gのプラークには、1000億個以上の各種細菌が含まれているのです。プラークを放置すると硬い「歯石(しせき)」が生じます。

プラークは最短2日ほどで歯石に変わるそうです。歯石の表面はザラザラしているため、プラークがたまりやすくなるという悪循環が生じます。

年3~4回は歯科医に
クリーニングしてもらう

プラークも歯石も、歯周病を招きます。歯石になると通常の歯磨きでは落としにくいので、3~4ヵ月に一度くらいの割合で“かかりつけ歯科医”を受診して、専門的なクリーニングで落としたほうがいいです。

同時に歯周病と虫歯の有無のチェック。口のなかをピカピカにしておいてください。もし歯を失ったら、そのまま放置せず、義歯を入れて噛む力とそしゃくする機会を保つようにしましょう。【次回に続く】

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)