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スマートフォンの理想と現実

「ガラケー再興」待望論は根強くあるものの…
作りたくても作れない、製造サイドの事情とは

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第44回】 2013年2月20日
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 メンテナンスという意味では、部品メーカーも似たような状況である。たとえば、折りたたみ式端末の金属ヒンジ大手であったストロベリーコーポレーションは、2011年夏に債務超過に陥り、その後は事業売却等に至った。似たような動きはその他にも見られ、すでにフィーチャーフォンを作るのが容易ではないことを、部品レベルでもうかがわせる。

 コンテンツ側も、そろそろ転換点を迎えつつある。少し前までは、フィーチャーフォンとスマートフォンの両方に注力する必要があった。これは、スマートフォンよりもフィーチャーフォンの方が、コンテンツ課金への親和性が高いと考えられていたことによる。

 実際、総務省の通信利用動向調査によれば、地方部では相変わらずフィーチャーフォンの利用が多い。新たなビジネスモデルやエコシステムの構築がいまだ途上にある以上、こうした市場からの収入は、現時点でも看過できないものではある。

 しかし、国内最大のポータルサイトであるヤフージャパンが、スマートフォン時代を念頭に置いた「モバイル・ファースト」を打ち出してから、まもなく一年。彼らはフィーチャーフォン向けのサービスも継続しているものの、新規サービスの開発は、フィーチャーフォンより(そしてPC向けより)先に、スマートフォンへの最適化を進めていくだろう。

 そして彼らのような巨大事業者が動くことにより、モバイルコンテンツのエコシステムは刷新されていく。実際、ヤフーは単にコンテンツをスマートフォンへ最適化しているだけでなく、O2O(ネットから実空間への送客)や行動ターゲティングへの取り組みを強化し、新しい情報メディアを模索しつつある。

 これは通信事業者も同様だ。コンテンツサービス面でのスマートフォン・シフトは、昨年あたりからすでに舵が切られた状態にある。また、2012年春に起きた大規模な通信障害も乗り越えつつある。都市部を中心にLTEの普及が進んでいることも含め、通信インフラにおいても、すでにスマートフォンへの最適化がはかられているということである。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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