ChatGPTに淘汰されない子どもに求められる「たった1つのスキル」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

ChatGPTが話題ですね。人間よりも速く正確に“それらしい答え”を出す姿に「ホワイトカラーの失職」を懸念する声もあります。米国の教育現場では、ChatGPTの使用を制限する動きもあります。しかし、私は「ChatGPTを教育に積極的に活用すべき」と考えます。それこそが「子どもを守ること」に直結するからです。今回は「ChatGPTに淘汰されない子の育て方」について、5000人以上のバイリンガルを育ててきた経験から解説します。(TLC for Kids代表 船津 徹)

ChatGPTは教育の敵か、味方か?

 2022年11月末のリリースからわずか3カ月で「1億人のアクティブユーザー」を獲得する人気となっているChatGPT。かく言う私もChatGPTに英文メールの文法チェックをしてもらったり、数学の文章問題を作成してもらったり、アメリカの保険制度について尋ねたりと、幅広く活用させてもらっています。

 仕事の効率化や日常のあらゆる分野の問題解決に役立つChatGPTですが、アメリカの学校関係者の間では、宿題やテストでの不正使用、思考教育への弊害などを理由に使用を制限する動きが出始めています。

 ロサンゼルス統一学区は「学問の誠実さを守る」という理由から学校でのChatGPTの使用を禁止しました。ニューヨーク市教育局は「クリティカルシンキングや問題解決スキルを構築することができない」という理由から学校のコンピューターおよびネットワークからChatGPTへのアクセスをブロックしました。

 確かに、算数や理科のテスト問題の解き方、国語の作文や読書感想文の代筆、プレゼン資料の作成、外国語の翻訳など、ChatGPTを活用すれば、もっともらしい「答え」をあっという間に作成してくれます。生徒の立場からすれば「使いたくなる」のは当然かもしれません。

 教師の立場から言えば、ChatGPTが不正のツールに使われたり、思考教育の障害になる危惧、さらに、教師そのものの必要性がなくなるのではないかという心配があるのかもしれません。私はアメリカで学習塾を経営していますから、ChatGPTに私教育のニーズ(塾や家庭教師など)が取って代わられるのでは?という不安がないと言えばうそになります。

 しかし、個人的にはChatGPTのような新しい技術は「子どもの教育に積極的に取り込むべき」と考えています。