スナク首相のトレードマークのナロータイとスリムなシルエットのスーツは、イギリスの伝統的な政治家らしからぬスタイリングともいえ、デザイナーズブランドや「オフ サヴィルロウ」(背広の語源となるテーラーが軒を連ねるサヴィルロウ通りから少し外れている、やや前衛的なテーラーをこう称します)で仕立てているそうです。出自や着こなしがこれまでのイギリス首相と一線を画すからこそ、政治手法にも非常に期待させられます。大富豪の娘さんである奥様は一時期ファッションブランドも経営していて、ファッションに敏感なパワーカップルらしいコーディネートをいつも楽しませてくれるご夫妻です。
今回、G7唯一の女性首相であるイタリアのメローニ首相にも触れます。サミットに先立ち、岸田首相との2国間会議で着ていたのはネイビーのブレザースーツでした。メタルボタンのダブルブレストは気迫あるスタイリングです。また20日の記念撮影では美しいサーモンピンクが映えるコートジャケット&パンツの装いがお似合い(記事冒頭写真)。イタリアでは首相に就任してから、装いがかなり洗練されたといわれています。15歳から働きながら政治活動をしてきたため、労働者階級の支持基盤が厚く、反感を恐れてかあえて公式発表はされていませんが、ジョルジオ・アルマーニを着ているのはイタリア国民の多くが知るところ。イタリア国産高級ブランドでマニッシュかつ上質な服装をまとって国際会議に臨むメローニ首相は、女性躍進のイメージをしっかり根付かせ、かなり好感が持てます。
濃紺しか着ない大統領といわれるマクロン大統領は、今回もネイビースーツにネイビータイのブレないコーデでした。お隣のブルースーツのバイデン大統領はスーツの影響で表情まで明るく見えるから不思議です。余談ですが、バイデン大統領のネクタイはストライプが向かって左から右に下がるアメリカンストライプ、右下に見えているコモロのアザリ大統領のネクタイは右から左に下がる英国式レジメンタルです。