多くの人が好むストライプ柄のネクタイ。しかし、ネクタイは本来、その人自身や所属する組織を表す「象徴」です。単に「カッコいい」「可愛い」という理由だけで選んでしまうと、思わぬ悪印象を与える可能性があるので注意が必要です。(ファッションスタイリストジャパン代表 西岡慎也)

日本国内では問題なし!
なぜヨーロッパではダメなのか

ストライプ柄のネクタイを欧州出張で着けてはいけない理由本来、クラブやチーム、学校など、さまざまな組織は、独自のレジメンタル・ストライプ柄を採用しています。何も考えずにストライプ柄のネクタイをつけると、そうした特定のグループに属する人物と間違われる可能性があります

 10月に入り、クールビズも終了となる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、クールビズが終わると登場するのがネクタイですね。本日はこのネクタイのお話をします。

 ネクタイには、無地・ストライプ・小紋などさまざまな柄があります。この中でも日本のビジネスマンはストライプのネクタイを好む方が多いです。このストライプ、日本国内のビジネスでは問題ありません。しかしながら、海外、特にイギリスなどヨーロッパの国々や、ヨーロッパの影響を大きく受けている国を訪れる場合、避ける方が良いことは、あまり知られていないのではないでしょうか。

 理由はネクタイに入った、斜めのストライプ(レジメンタル・ストライプ)の由来にあります。そのルーツは、16世紀の英国連隊の旗の柄にさかのぼります。各々の連隊(レジメント)ごとに制定したストライプ柄が「レジメンタル・タイ」であり、その連隊に所属することの証だったのです。

 それ以来、レジメンタル・ストライプで、自分が所属するクラブや、チーム、学校など、団体を表すという文化ができました。実際、ストライプの色や線の組み合わせによって、学校やクラブ、軍など、様々なグループのネクタイが存在します。そうした特定のグループに間違われないようにストライプを選び、使いこなすことはとても難しいことです。

 もし、ビジネスで海外、特にヨーロッパの国々を訪れる場合は無地(ソリッド)や小紋柄などを選びましょう。世界主要国の首脳が一同に集まるサミットでも、各国リーダーは無地か小紋柄を選ばれているケースが多いですね。ニュースを見るときには、ネクタイにも注目してみるといいかもしれません。

 海外で失礼な印象を与えたり、恥をかかないためにも、渡航前のネクタイ選びは慎重に行いましょう。