ダイヤモンド 決算報#住宅メーカー写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は、大和ハウス工業や積水ハウスなど「住宅メーカー」業界の3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

住宅メーカー3社の売り上げ好調
大和ハウスは利益面で大逆転

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の住宅メーカー業界3社。対象期間は2022年11月~23年3月の直近四半期(積水ハウスは22年11月~23年1月期、大和ハウス工業、積水化学工業は23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・大和ハウス工業
 増収率:15.0%(四半期の売上高1兆4865億円)
・積水ハウス
 増収率:7.2%(四半期の売上高7988億円)
・積水化学工業
 増収率:3.4%(四半期の売上高3303億円)

 住宅メーカー3社は、いずれも前年同期比で増収だった。四半期増収率は、3社そろって「8四半期連続」でプラスが続いている。

 通期累計決算でも、3社は売上高・利益の両面で「過去最高」を更新しており、その好調ぶりが際立っている。

 このうち大和ハウス工業は、通期累計の売上高・営業利益が「過去最高」を記録した。

 だが実は、第3四半期終了時点での累計営業利益は前年同期比「12.3%減」と苦戦し、通期の業績予想でも営業減益を見込んでいた。

 前四半期の記事でも解説した通り、この時点で営業利益面が前年同期比でマイナスだった企業は、3社の中で大和ハウス工業のみだった。

 いわば、住宅メーカー3社で「独り負け」の危機にあったものの、そこからの大逆転によって過去最高益を達成したのだ。

 なぜ、大和ハウス工業の利益面は盛り返したのか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、大和ハウス工業の業績について詳しく解説する。