コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、米中対立、ChatGPT、アフリカの成長など、世界ではさまざまな事象が錯綜し、変化が加速しています。これからの世界を読み解くために、歴史や経済、テクノロジーなど幅広い知識を得られる書籍20冊を、世界96カ国をまわった元外交官で、『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養「世界の民族」超入門』(ダイヤモンド社)などの著書のある、山中俊之氏に挙げてもらいました。選書の一部とその理由についてご紹介します。(書籍オンライン編集部)
世界情勢を正しく把握するための教養
災害や戦争、経済対立など世界中で起こっているさまざまな事象について、歴史上の位置づけ、または地政学的な観点で理解するには、幅広い知識が欠かせません。とはいうものの、どこから手を付ければよいのか困ってしまう……という方のために最適な推薦書リストを今回ご紹介します。世界96カ国をまわった元外交官・山中俊之さんが、グローバルな知見をバランスよく身につけるための20冊をセレクトしてくれました。
●20冊のブックリストに込めた思いを、山中俊之さんから:
コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、米中対立、ChatGPT、アフリカの成長など、2020年代に入って世界ではさまざまな事象が錯綜し、その変化はさらに加速しています。そうした世界の潮流を読み解くには、歴史、地政学、経済、ビジネス、テクノロジーから地球環境問題まで幅広い知識からの思考が必要です。また、異なる知識を繋げる能力も求められます。今回のリストでは、表層的でなく深層から世界の変化を読み解くために必要な、読み応えのある書籍を選びました。多様なバックグランドをもつ海外著者の書籍も多く取り上げ、日本や西側の目線に偏り過ぎないよう注意しました。
20選の一部とセレクト理由を紹介!
では、選書の中から一部をご紹介します。
①[新訳]ローマ帝国衰亡史(エドワード・ギボン著、PHP研究書、2020年)
ローマ帝国の歴史を描いた世界的な大作の新訳版。初代皇帝が無益な領土拡張を志向しなかったことや、奴隷でも異邦人でも長所や美点があれば活用しようとしたことなど、長きにわたる繁栄を築いた帝国の根底にあった考え方が現代にも通じる。
②イスラームから見た「世界史」(タミム・アンサーリー著、紀伊国屋書店、2011年)
イスラム教についての書籍は多いが、どうしても日本目線や欧米目線になってしまうことが多い。イスラム教徒から見ると、十字軍の遠征や植民地支配は欧米による勝手な関与であることがわかる。世界を見る際に、狭い目線にならないようにとの教訓を与えてくれる。
③新しい世界の資源地図(ダニエル・ヤーギン著、東洋経済新報社、2022年)
エネルギー分野の世界的権威ダニエル・ヤーギンが地政学リスクについてまとめた書。日本人にはなじみが薄い世界各国で繰り広げられる資源獲得競争についての実態が描かれる。気候変動問題を含め、地政学的にエネルギー問題を見る重要性を教えてくれる。
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以上、いかがでしたか?
世界96カ国をまわった元外交官ならではのセレクトで、西欧的な視方に偏らずに視野が広がるようバランスよく選書してもらいました。激動の現代を生き抜くヒントを得たい方には是非お勧めです。
著述家/国際公共政策博士
1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、1990年外務省入省。エジプト、イギリス、サウジアラビアへ赴任。対中東外交、地球環境問題などを担当する。また、首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。外務省を退職し、2000年、日本総合研究所入社。2009年、稲盛和夫氏よりイナモリフェローに選出され、アメリカ・CSIS(戦略国際問題研究所)にて、グローバルリーダーシップの研鑽を積む。2010年、グローバル発想や行動ができる経営幹部育成を目的としたグローバルダイナミクスを設立。累計で世界96カ国を訪問し、先端企業から貧民街・農村、博物館・美術館を徹底視察。ケンブリッジ大学大学院修士(開発学)。高野山大学大学院修士(仏教思想・比較宗教学)。ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA、大阪大学大学院国際公共政策博士。京都芸術大学学士。芸術文化観光専門職大学教授・神戸情報大学院大学教授。五感を満たす風光明媚な街・香美町(兵庫県)観光大使。
著書に『世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)、『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)など多数。最新刊は『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養「世界の民族」超入門』(ダイヤモンド社、2022年2月発売)