支店長の異動で変わった
支店の野球ユニホーム
「新しい支店長は関西出身らしいな」
「じゃあユニホームは白のタテジマ、タイガースか? 待てよ、オリックスかもしれへん。イチローみたいなカッコして下手くそだったら目も当てられへん」
私が入行した頃は、支店対抗野球大会があった。他にテニス、バスケットボールも対抗試合があった。軟式野球は特に力が入っていた。支店ごとにユニホームまでそろえる徹底ぶりだった。当時は支店近くの商店街にひとつふたつはスポーツ用品店があり、野球のユニホームもオーダーできた。支店長が異動すると、新しい支店長が自分の好きなプロ野球チームに似せたユニホームに変えてしまうことがあった。
そんなこんなで同僚と新しいユニホームデザインの予想をしていたのだが、新支店長は誰も予想しなかった日本ハムファイターズのファン。まさか、着るのもためらうオレンジのユニホームに変わったのだ。
当時、関西以外での野球中継は巨人戦しか放映しなかったと言っても過言ではない。各支店のユニホームも、関西以外はほとんどがジャイアンツ仕様だった。両チームともジャイアンツなので、塁にランナーがいると敵か味方かわからない。高校野球で言えば智弁学園と智弁和歌山の試合を観戦しているようなものだ。