キューバが中国の対米諜報(ちょうほう)施設の設置を認め、その見返りとして多額の現金を受け取る密約を結んだことは、数十年にわたる米国との緊張関係において大きな節目となる。キューバはソビエト連邦崩壊以降で最悪の経済危機に苦しんでいる。今回の中国との合意は冷戦時代の緊張を思わせるものだ。キューバは1962年、米フロリダ海岸からわずか約140キロの同国内にソ連の核ミサイル配備を認め、二大超大国の核戦争を引き起こしそうになった。ソ連は長年にわたりハバナ近郊のルルデス基地で大規模な盗聴施設を運営していたが、この施設はソ連崩壊後に閉鎖された。米陸軍戦略大学の中南米アナリスト、エバン・エリス氏は、中国との合意はキューバが財政的に死に物狂いになっていることの表れだと話す。