東京理科大学の大学生だったとき、夏休みの暇つぶしで突如「そうだ、投資をしよう!」と思い立った。証券口座を開設して、家庭教師のアルバイトで稼いだ貯金を“タネ銭”をほぼ全額投入。知識ゼロ・経験ゼロの状態から投資をしてみたものの、わずか2週間で全額、溶かしてしまった……。そこで投資を諦めず、本腰を入れて勉強。ベンチャー企業に入社してから本領を発揮して、1銘柄だけでも億単位のリターン(売却益)を得るなどして、入社4年で独立。そこで得た投資の最終結論は、常識の真逆をいく「小型株集中投資」という手法だった。その投資法を1問1答のクイズ形式で楽しみながら学べる『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)の著者が、アマチュアだからこそプロに勝てる“儲かる株の見つけ方”を基礎の基礎から応用まで解説する。

ひと晩で800万円を失った会社員が“痛恨の大失敗”から学んだことPhoto: Adobe Stock

取引中に寝落ちして
気づいたときには……

私の投資の失敗談をお伝えします。私は大学生のときに投資を始めたのですが、ベンチャー企業に就職してからも投資を続け、それなりに板についてきた頃の出来事です。

株式投資と並行してFX(外国為替証拠金)取引も行っていたのですが、ある夜、自宅のベッドでゴロゴロしながら、スマホでFX取引をしていたところ、そのまま寝落ちしてしまいました。

翌朝、目が覚めて寝ぼけ眼をこすりながら、スマホでFXの取引画面を見ると、昨夜まで1000万円あったはずのFX口座の残高が200万円まで減っていました。口座資産の8割(800万円)が一夜にして吹っ飛んだことを知った瞬間でした。

キプロスの金融危機から
一晩で800万円を失う

寝起きしたばかりだったからか、頭が混乱していたのか、「これは夢だ」と“謎の現実逃避”の思考回路が働き、そのまま二度寝してしまいました。その後、二度寝から目覚めても、残念ながら大金を失った現実は変わりませんでした。

その日は「キプロス・ショック」(金融危機)が起こった日だったのです。ニュースでも取り沙汰されていましたが、何のことやらさっぱり理解できませんでした。

後で知ったところによると、多くのFX投資家が大きな為替差損を被った出来事だったのです。

国際情勢が自分にも
影響を与えることを痛感

ちなみにキプロス・ショックというのは、2013年3月16日に地中海の島国キプロスを襲った金融危機のこと。ユーロ圏によるキプロスへの金融支援の条件として、キプロスの全預金に最大9.9%を課税することで合意に至ったことによるものです。

キプロス政府が銀行預金への課税を決めると、ネット上の仮想通貨(暗号資産)ビットコインが資産の逃げ場となりました。

それまで聞いたこともない知らない国での金融危機が、これほど為替取引に大きな影響を与えることを痛感させられました。

管理職の年収を
一晩で失った現実

一晩で失った800万円は、当時勤めていた会社の管理職の年収に匹敵しますから、一介の会社員にとっては大きな金額です。そのショックは1週間ほど引きずりました……。

しかし、どれだけ凹もうと、800万円を失った現実は変わりようがありません。現実を受け入れたうえで、どうするか考えたほうがいい。「まぁ仕方ないか……」と気持ちを切り替えて、投資を再スタートしました。

この話をするとよく、「一晩で800万円も失って、よくまた投資を続けようと思いましたね」と言われます。たしかに、一夜にして口座資産の8割を失ったら、「もう投資なんて一生やらない!」と思ってもおかしくないでしょう。

大きな失敗から学んだ
大切な2つのこと

しかし、私の中には「正しい手法で投資を続けていれば資産は増えていく」という確信がありました。大事なのは目先のお金をいくら損したとか得したとかではなく、「失敗や成功から何を学ぶか?」です。

人は成功よりも失敗から多くのことを学びます。僕がこの失敗から学んだことは大きく2つありました。どちらも、その後の投資スタイルを決定づけるものでした。 【次回】へ続く

※本稿は『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)の著者によるものです。