トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が異例の経済政策からのシフトを図っているとみられることを投資家は歓迎したくなるかもしれない。だが、政策の急転換にはリスクがつきものだ。エルドアン氏は9日、米ゴールドマン・サックス・グループや米ファースト・リパブリック銀行で幹部を歴任したハフィゼ・ガイ・エルカン氏を中央銀行の新総裁に起用したと発表した。5月に再選を果たしたエルドアン氏は、借り入れをてこにした経済成長や、低金利の維持によるインフレ退治といった金融市場に不人気な経済政策を取り下げようとしているようだ。途上国では為替変動がインフレの主な要因であり、エルドアン氏の構想は非常にまずいものだった。同氏が大統領に就任した2014年以降で、トルコの通貨リラはドルに対して91%下落。外貨準備も吹き飛んだ。