西側の中央銀行が根強い高インフレの抑制を目的に利上げを続ける中、中国ではデフレのリスクが高まっている。中国の5月の生産者物価指数(PPI)は7年ぶりの下落率を記録し、消費者物価指数(CPI)はほぼ横ばいだった。世界第2位の経済大国である中国が国内外で難題に直面していることが改めて示された格好だ。エコノミストによれば、インフレ圧力がないということは、経済が早期に回復しなければ中国でデフレ――幅広く物価が下落する現象――がしばらく続く恐れがあることを意味する。長引くデフレは成長の圧迫につながることが多く、なかなか抜け出せないこともある。中国で長期にわたって物価が下落することはおそらくなさそうだが、それでも同国の政策立案者はデフレリスクを食い止め、経済を再び回復軌道に乗せるために金利を引き下げたり、元安に誘導したり、家計や企業への現金など消費の「呼び水」を提供したりして対策を強化する必要がある。