インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】資産を増やすためにお勧めしたい、王道の投資法とは?Photo: Adobe Stock

世界全体のGDPは、
基本的に右肩上がりに成長を続けている

 前回はお勧めの債券ファンドを紹介しましたが、同様に株式ファンドでもお勧めの1本をご紹介しましょう。株式ファンドは、世界中の企業に分散して投資するインデックスファンドを選びます。

 先にも少し触れましたが、世界の国々は絶えず経済が成長するよう努力を重ねており、これまでの歴史を振り返れば、大きな山や深い谷も経験しながら着実に経済成長を遂げてきました。

 下図は、1980~2022年の、世界の名目GDP(国内総生産)と世界の株式時価総額の推移を示したものです。

 GDPとは「一定の期間に、その国がどれくらい価値のある物やサービスを生み出したか」を示す数字で、「経済規模を表す金額」と考えるとわかりやすいでしょう。

 データからは、世界全体のGDPが基本的に右肩上がりに成長を続けていることが見て取れます。そしてこの間の世界の株式の時価総額を見ると、1980年に2・5兆ドルだったものが、2022年には97・6兆ドルへと大きく上昇していることがわかります。

 つまり世界の経済規模の成長に伴い、世界の株式市場も規模を拡大させてきたわけです。

 もちろん、経済の成長は一時的に停滞することがあります。また、国や地域によっても成長の速度は異なり、ときにはマイナス成長に陥る国があることも間違いありません。

 しかし各国が努力し続けている以上、世界全体では長い目で見れば経済成長が続くと考えるのが自然ではないかと思います。その成長に乗り、世界中の企業の株式に投資することが、積極的にお金を増やしていくための「王道」といえる方法なのです。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。