インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】主要各国の株式に分散投資するお勧めのインデックスファンドとは?Photo: Adobe Stock

信託報酬が最安水準で、
年0・11%と非常に低コストで運用できるファンド

 世界の企業に分散して投資するインデックスファンドとしてお勧めする1本は、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド『愛称:雪だるま(全世界株式)』」(SBIアセットマネジメント)です。

 このファンドは、日本を含む世界主要各国の株式に投資するファンドで、全世界の株式市場の値動きを示す「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」という指数に連動します。

「雪だるま」は、全世界の株式に投資するインデックスファンドの中でも信託報酬が最安水準で、年0・11%と非常に低コストで運用することができます

「米国」「米国を除く先進国」「新興国」の株式に投資する3本のETF(上場投資信託)を組み合わせているのが特徴で、コストを抑えて幅広く先進国企業、新興国企業、そして日本企業にもまとめて投資できる1本です。

 もちろん償還日は「無期限」ですから、長きにわたって運用できるファンドだと考えて差し支えありません。

アップル、マイクロソフトなど有名企業から
小型株まで幅広く組み入れられているのが特徴

「雪だるま」の構成を見てみましょう。下図は、「雪だるま」の「組入上位国・地域」と「ETFの組入比率」を示したものです。

 国・地域別で大きな割合を占めているのはアメリカで、58・9%。その次が日本で6・6%、イギリス4・0%、というように続きます。アメリカの株式市場の規模は世界の中でもかなり大きいため、規模に応じて割合を決めるとこのような構成になるわけです。

「雪だるま」は、大型株から超小型株まで幅広い米国株で運用する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」、米国を除く先進国の株で運用する「SPDR ポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国)ETF」、新興国の株で運用する「SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF」という3本のETFを組み合わせており、構成銘柄数は9000近くにものぼります。

 アップルやマイクロソフトといった有名企業だけでなく、一般には名前が知られていない小型株まで幅広く組み入れられているのが特徴です。特に小型株を組み入れている点は今後の成長が期待できるという意味で魅力的ではないかと思います。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。