程よいパーソナライズで
「特別感」と「ハズレの回避」を両立
一方、相手の個性や趣味に応じて程よくパーソナライズされたギフトを贈ることができるサービスもある。22年4月から大和(長野県安曇野市)が提供する「dōzo(どーぞ)」がそれだ。
特徴は、商品ではなく「テーマ」を選ぶ設計になっていることだ。例えば、贈る側は、相手がビール好きであれば、「三度の飯よりBEERでしょ!」というテーマを選ぶ。
各テーマには主に5種類の商品が選択肢としてあり、「三度の飯よりBEERでしょ!」であれば、(1)クラフトビール「ベアードビール」の6本セット、(2)ビール専用グラス2脚、(3)ビールと相性抜群な北海道の「トンデンファーム」のハムやウインナーの詰め合わせ、(4)半熟くんせい卵「スモっち」とチキンジャーキー・ソーセージのおつまみセット、(5)ビールに合う薬院宝雲亭の「博多一口餃子」の5つの商品が用意されている。
ギフトを贈られた側は、この5つの中から好きな商品を選んで受け取ることができる。
他にも、スイーツ好きに最適な「甘やかしてドーパミン」、サウナ好き向けの「サ活の手引き」、スニーカーマニア向けの「百足(ムカデ)のお手入れ」など、全部で80テーマ以上を提供している。
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贈り方は簡単だ。まず、専用のウェブサイトで、ギフトしたい相手が好みそうなテーマを選ぶ。
次に、SNSでソーシャルギフトの形で贈るか、手渡しで贈るかを選択する。前者であれば、例えば「LINEで贈る」を選ぶとLINEアプリが立ち上がり、ギフトページのURLをメッセージとして送信できる。後者なら紙製のギフトチケットが贈り主のポストに郵送されるので、それを相手に手渡しする。
贈られた方は、SNSで受け取った場合は欲しいギフトを選び、届け先の住所などを入力すると商品が自宅に届く。ギフトチケットは、紙に印刷されている2次元コード(QRコード)をスマホのカメラ機能で読み取るとギフトページが表示され、その後はSNSの場合と同様の工程を経て商品を受け取ることができる。
贈る側はテーマを選択するだけでよいので、ピンポイントで商品を選ぶのに比べるとハードルはぐっと下がる。贈られる側にとっても好みのテーマがもらえるため、「自分のことをわかってくれている」と実感でき、その上で、自らが選ぶ楽しさも享受できるのだ。
実は、このサービスを提供する大和は元々カタログギフトを手掛けてきた老舗企業だ。20代、30代のバイヤーが、若い世代に受けそうなテーマを設定し、商品を厳選して提示している。ギフトで肝となる、商品選びのセンスの点もしっかりと担保されているというわけだ。
若年層の間では、コロナ禍で希薄になってしまった友達関係を修復する「友情築き直し」が、アフターコロナの重要な活動のひとつとなっている。
そのために使われる代表的なツールがギフトだ。カスタマイズやパーソナライズされた承認欲求充足型ギフトは、そうした兆候の中で、今後活用が進む可能性が高まりそうだ。
(大来 俊/5時から作家塾(R))