アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「企画がうまい人」は必ずおさえている2つのポイントPhoto: Adobe Stock

「いい企画」と「ダメな企画」を分けるものとは?

「いい企画」とは一体どのようなものでしょうか?

基準は2つあります。

ひとつはギャップがあっておもしろいこと。

2つめは誰かの欲望を叶えられること。

この2つを他人と合意できるものが、いい企画です。

たとえばあなたが、化粧品会社に勤めるヘアワックスの新製品開発責任者になったとします。

念願だった新製品の開発をはじめて任されたあなたは、今回のプロジェクトをなんとしてでも成功させたい。

そこであなたは企画会議にむけて、若手のAさんとBさんに企画出しをお願いしました。
数日後、最初の会議でAさんとBさんはそれぞれ案をもってきました。

Aさん案:ハンドクリームにもなるヘアワックス
問題:髪の毛を直したあと手に残ったヘアワックスのベタベタが嫌。
工夫:そのままハンドクリームとして使うことができる。

Bさん案:食べられるヘアワックス
問題:髪の毛を直したあと手に残ったヘアワックスのベタベタが嫌。
工夫:手に残ったヘアワックスを舐めとることができる。食べることもできる。

少し極端な2案にしてみましたが、あなたはどちらがいい企画だと思いましたか?

おそらく、Aさんの「ハンドクリームになるヘアワックス」の方がいい企画だと感じたのではないでしょうか。

では、なぜそちらの方がいい企画か説明できるでしょうか。

さきほどのわたしの基準でいうと、どちらもヘアワックスという商品からはギャップのあるおもしろいアイデアになっています。

しかし、誰かの欲望が叶うのはAさんの案であるのは明らかです。
サバイバルな極限状況を除いて、ヘアワックスを舐めたり食べたりしたい人はいないでしょう。

つまり現状の企画で合意形成ができるのは、Aさんのハンドクリームにもなるヘアワックスとなります。

「アイデアはいいんだけどね」という半分慰めのようなやわらかい否定を、上司や先輩に言われた経験は、誰にでもあるでしょう。

ぜひ、「合意形成」という基準から、改めて自分の企画を見直してみてください。
また、もしあなたが誰かのアイデアの是非を判断する際に悩んだら、この基準で目の前の企画を評価してみてください。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)