商談や会議などのプレゼン、普段の会話。どんなに内容が良くても、うまく伝えられないだけで「ダメな奴」と判断されかねない。人の評価は「話し方」で決まるのだ。信頼を得られる話し方は、比較や分解、構造化という数学的な思考を身に付けることでできるようになるという。言いたいことをわかりやすく伝えて自分の評価を上げる話し方を、深沢真太郎『説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問』(PHP研究所)から一部抜粋・編集して紹介する。
わかりやすく話す人の共通点は、
話す前にその内容を分解していること
説明がわかりやすい人(本書で言う頭のいい人)は話す内容を組み立てながら大慌てで話しているのではありません。話し始める前に組み立て終わっており、あとはゆったり自分のペースで話しているだけなのです。
僭越ながら私も本業で説明がわかりやすいとご評価いただくことがありますが、間違いなく話し始める前に組み立てが終わっているタイプです。そんな私と非常に似ている話し方をされると感じたある著名人の事例をご紹介しましょう。
実業家の森岡毅さんは数学的思考を駆使したマーケティングで様々な大企業の業績をV字回復させてきた敏腕マーケターとして知られています。数学をビジネスで活用することを推奨する立場として、森岡さんのように数学をマーケティングに活用し実績をあげられてきたことに対して、ただただ「素晴らしい」のひとことです。そして本業だけではなく、その話し方においてもお手本となる部分がたくさんあります。
あるテレビ番組の企画で、森岡さんは就職活動に悩む大学生から「将来やりたいことが見つからない中でどのように会社を選べばいいかわからない」という悩みを相談されました。この質問に対する森岡さんの答えは大まかには次のような内容でした。
ここで強調したいのは、なぜ森岡さんは「2つお伝えしたいかな」と冒頭で言ったのかということです。確かなことは、この大学生に質問されてからその答えを話し始めるまでに、ここから話す内容には大きな塊が2つあると自身で整理し終えているということです。