半導体を巡り、米国が中国と覇権争いを繰り広げている。この戦いは単なる力と力のぶつかり合いにはならず、譲歩や戦略が欠かせないだろう。米国にとって最も重要なのは、友好国の支持をつなぎ留めることだ。最近の報道を見ると、バイデン米政権はこのことを理解しているようだ。もしそうなら、半導体価格が高騰したり、米国自らの半導体製造計画が巻き添えを食う事態は回避できる可能性がある。バイデン政権は昨年10月、最先端半導体製造装置の中国向け輸出を制限する厳しい規則を発表したが、韓国と台湾の半導体大手に認めていた適用免除を延長する方針を明らかにした。これにより韓国サムスン電子や半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、当初の1年間の免除措置が失効する今年10月以降も中国の拠点を維持でき、おそらく設備増強も可能になる。