サラリーマンでありながらサンダンス映画祭で日本人初のグランプリを受賞した映画監督/脚本家の長久允氏。その思考法を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』から、抜粋・再構成し、作品づくりの根幹に迫る。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

脚本の教室Photo: Adobe Stock

手を抜けない仕事のジレンマ

 明日までに企画を出さなければいけない。

 でも、自分が良いと思っていないものは絶対に出したくない。

 仕事をする中で、そんな葛藤にさいなまれることがあるかもしれない。

 どのように両立したらよいのか。

 電通社員でありながら映画監督として活躍する長久允さんの著書『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』(ダイヤモンド社)には、「書けないときの裏技」として、こんな記述がある。

 一番、膨らませやすいのは、タイトルです。なので、タイトルから考えちゃってみてはどうでしょうか?

 

 (中略)
 
いくつもの単語の組み合わせを書くうちに、自分の好きなゾーンに気づくでしょう。
 そうやってたくさん書いたあとに、そのアウトプットから「自分の作風」というものができていくことはあります。

 

――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p.163-164より

 何もないところからいきなり考えるのは難しいけれど、タイトルという縛りがあることで考えやすくなるかもしれない。

 やってみれば自分の勘所がわかってくるというのは、行き詰まったときの希望に思える。

自然とあなたにしかできないものが出来上がる

 さらに長久さんは、こう続ける。

 ちなみに、自分の中に大切にしている哲学があるのなら、どんなタイトルにして、どのような設定で書いたとしても、その中で立ち上がる人間関係は、あなたにしか書けない物語になっているはずです。


――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p.164より

 書けない中でももがいて手を動かせば、自然と自分にしか書けないものになっている。

 とても勇気が湧く言葉だ。

 時間がなくても妥協して諦めたくないのなら、この言葉を信じて手を動かしてみるのもいいのかもしれない。