個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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決算発表翌日の投資判断
欲しいと思っていた株が急騰すると、なかなか手を出しづらいものです。「もっと安いところで買っておけばよかった」「ここから買ったら、高値づかみになりそうだ」そう考えて、株価が下がるのを待つ人もいるでしょう。
しかし、窪田さんは著書『株トレ ファンダメンタルズ編』の中で、1日の値動きだけで判断すると、大きな流れを見誤ることがあると説明しています。
本書に掲載されているA社のケースを見てみましょう。(A社は、解説のために設定した架空の銘柄です)
4月27日の15時30分にA社が本決算を発表。A社は、前期に不採算事業から撤退したことで特別損失が発生し、大幅な赤字に転落しました。
ところが、今期は225億円の黒字に転換するという会社予想を発表しました。これを受けて、翌日A社の株価は急騰しました。
A社が発表した決算
本決算を発表した翌日の朝10時時点のチャート
あなたなら、ここからどんな投資判断を下しますか? 「売り」「買い」、それとも「様子見」でしょうか。
急騰後でも「買い」と判断できる理由
窪田さんの答えは、「買い」の判断だと言います。その理由を順番に見ていきましょう。
まず注目したいのが、A社の業績です。
前期は、不採算事業から撤退したことで「特別損失」が発生し、大幅な赤字となりました。しかし今期は、不採算事業の損失がなくなるうえ、既存事業も伸び、利益が急回復する見込みです。
つまり、単に「赤字から黒字になる」というだけではありません。不採算事業からの撤退を経て、業績がV字回復する見通しになったことが重要です。
さらに、急騰後の株価が割高になっていないかも確認する必要があります。A社の今期予想の1株当たり利益は168円。急騰後の株価1682円から、予想PER(株価収益率)を計算すると、約10倍です。
PER
= 株価 ÷ 1株当たり利益
= 1682円 ÷ 168円
≒ 約10倍
まだ好材料が出たばかり
もう一つ重要なのが、好材料が出たばかりだということです。
A社株は、それまで業績への不安から大きく下落していました。ところが、決算によって今期の業績が急回復する見通しであることが明らかになり、株価が急騰しました。
ここで、「こんなに上がったのだから、もう今さら買えない」と考える人もいるでしょう。
しかし、窪田さんは、1日の値動きだけで判断すると大きな流れを見誤ると指摘します。重要なのは、「前日からどれだけ株価が上がったか」ではなく、「なぜ株価が上がったのか」です。
A社は、「業績不振の銘柄」から「業績好調で割安な銘柄」へと、市場の評価が変わり始めたばかりです。急騰したという理由だけで「もう遅い」と判断してしまうと、こうした大きな変化の初動を逃してしまう可能性があります。
もちろん、詳しいことがわからない段階で無理に買う必要はありません。窪田さんも、「詳細がわからないので様子見」という判断も間違いではないとしています。
急騰した株を見ると、高値づかみが怖くなるものです。しかし、株価が上がった理由を確認し、業績の変化と現在の株価水準をあわせて見ることで、急騰後でも買える株なのかを判断しやすくなるでしょう。


