沖縄鉄道計画「那覇~名護がわずか1時間」ジャングリアにも追い風になる?実現を阻む最大の壁沖縄鉄軌道計画を阻む壁とは? Photo:PIXTA

戦前の沖縄には与那原線、嘉手納線、糸満線の3路線で年間300万人が利用する「県営鉄道」があった。しかし戦禍で壊滅し、米軍統治下では復興されなかった。そうした中で今、那覇市から北部・名護市までを約1時間で結ぶ「沖縄鉄軌道計画」が注目されている。沖縄が自立的に発展する起爆剤となり得るのか?深刻化する交通課題と、建設に立ちふさがる壁について順を追って見ていこう。(ライター 前林広樹)

四国新幹線の進展に注目集まる中
「沖縄県にも鉄道を」と願う人たち

 8月7日、国土交通省が四国新幹線と東九州新幹線の整備を検討する調査「基本計画路線に係るケーススタディ」を委託する事業者の公募を始めた。両新幹線とも1973年から全国新幹線鉄道整備法に基づく将来構想にあったが、建設に向けた「整備計画路線」にステップアップしないまま半世紀が経過していた。

 とりわけ注目されるのが四国新幹線だ。岡山県から四国4県を結ぶルートの整備を目指して、地元の経済団体や自治体などが長く国へ働きかけ続けてきた。SNS上でも、「いよいよ全国で唯一となる『新幹線の空白地帯』が解消されるのでは?」などと話題になっている。

 早速、各県の知事らは「大きな一歩。整備計画への格上げに着実につなげ、実現に全力で取り組む」(後藤田正純・徳島県知事)、「新幹線の導入に向けて四国が一丸となって取り組みを加速させる」(中村時広・愛媛県知事)などとコメントを発表し意気込んでいる。

 こうした事態を横目に「うちの地元にも新幹線や鉄道を……!」と願う関係者は少なくない。その代表格が、沖縄県だろう。空港や県庁がある那覇市から北部・名護市までを鉄道で結ぶ「沖縄鉄軌道計画」を立ち上げ、県は長年にわたり開発の可能性を探っている。

 クルマで約2時間、渋滞時は3時間以上かかる那覇~名護の移動が、鉄道ができれば約1時間に短縮されるとあって期待する声は大きい。詳細は後述するが、沖縄の渋滞による「経済損失」は給与換算で年間1455億円との試算もある。

 そもそも沖縄には戦前、県営鉄道が走っていた。与那原線、嘉手納線、糸満線の3路線で年間300万人が利用する、生活路線だった。しかし沖縄戦で壊滅し、米軍統治下では復興されないまま今に至っている。

 沖縄県の交通課題と鉄道の必要性、一方で建設に立ちふさがる壁について順を追って見ていこう。