中国は高い若年層失業率、不利な人口構成、「経済要塞(ようさい)化」論を強めつつある指導部など、大きな問題をいくつも抱えている。だがそれらを差し引いても、「コロナ後」の景気回復の遅さは特筆すべきだ。中国はそれでも2023年の経済成長率目標である5%前後を達成するかもしれない。ただ、これは数年前なら極めて低いと考えられた目標であり、経済の中でも特に生産性の高い部門を断続的に停止した2年間を経ての回復期であることを抜きにしても、弱いと考えられる。15日発表の5月の主要経済指標が改めて示したのは、新型コロナウイルス流行中の政策の失敗や、その失敗を過度に長く引きずる原因になった「ゼロコロナ」を目指す姿勢が、経済に当初の想定より深刻な打撃を与えたことだ。比較対象となる2022年5月は上海でロックダウン(都市封鎖)が敷かれており、今年の数字はベース効果で底上げされるはずだったことを考えれば特に、一連の統計に歓迎すべき点はほとんどない。
中国経済に「L字型」リスク、政府は行動を
景気回復ペースは勢いをなくしている
有料会員限定
あなたにおすすめ