ドナルド・トランプ前米大統領が国家機密文書を不正に持ち出したとして連邦当局に起訴された事件の裁判は、連邦地裁のアイリーン・キャノン判事が、無作為の割り当てにより審理を担当することになった。これを受けて反トランプ派は、キャノン判事が自ら担当を外れなければならないと声高に主張している。公平性が「合理的に見て疑問視される恐れがある」場合、判事は裁判の担当を降りなければならないと法律が定めているからだ。トランプ前大統領は2020年にキャノン判事を任命した。しかし、そのことは忌避の基準にはなり得ない。さもなければ、最高裁判事の3分の1を含む何百人もの判事が訴訟を担当できないだろう。米国の半分は、民主党の大統領に任命された進歩主義者の法律専門家たちからトランプ氏が公平な扱いを受けられるかどうかを巡り、もう一方の側には合理的な疑問があると主張するだろう。連邦裁判所判事の大半は、どちらの党が政権の座にあるかに関係なく、就任の宣誓を真剣に受け止めている。