人の命の本質とは何か。死とは何か――。人生のさまざまな事象を「図解」という思考ツールを使って捉え直す、平井孝志著『人生は図で考える』(朝日新聞出版)の中から、一部を抜粋してお届けします。
人の命の本質とは
人生はバトンリレーです。
そして人間は死ぬその日まで、インプットとアウトプットを続けます。外部からの刺激に応え、食べては排泄し、吸っては吐くという呼吸動作で生きていく。死の直前までインプットとアウトプットを繰り返すのが、人の命の本質です。このような人間の特性を捉える二つのキーワードを紹介したいと思います。
一つは、「自己組織化現象」、もう一つは、「散逸【さんいつ】系」です。
あまり聞きなれない言葉かもしれません。それぞれ説明します。
「自己組織化」とは、全体をコントロールする仕組みを伴わないランダムなもの同士が、自律的な構成要素間の相互作用によって構造や秩序を生み出す現象です。難しいですよね。わかりやすい例を挙げると、雪の結晶、鳥の群れ、経済変動パターン、そして生命。これらすべて自己組織化現象です。何かしらの命令を下している存在がないにもかかわらず、雪の結晶は美しい造形を持ち、鳥の群れは優雅に舞い、経済は波打ち、生命は躍動します。不思議なことに、司令塔が存在しないのに、創発的に秩序が生まれているのです。