「近ごろ体を動かす機会がメッキリ減ってしまった」なんて人は多いはず。日ごろの活動量は減ったのに、なぜか食欲は減らない。飲食での摂取カロリーは多いのに、体を動かす消費カロリーが減ってしまったら、太ってしまうのは当たり前。内臓脂肪が蓄えられて、お腹はポッコリ。すんなり入っていたズボンがパツンパツンなんてことにも……。そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)だ。本書は、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体も脳も若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、運動を続けられない人が、続けられるようになる技術を紹介する。
(監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師)

【『世界一受けたい授業』で話題】<br />真面目な人ほど気をつけたい「オール・オア・ナッシングの罠」Photo: Adobe Stock

オール・オア・ナッシングの罠

【前回】からの続き アスリートでも「燃え尽き症候群」に陥るタイプの多くは、オール・オア・ナッシングの罠にハマっているケースが多いです。

ストイックで自分に求めるレベルが極めて高く、トレーナーが求めるレベルを1とするなら、彼らが自分に求めるレベルは、ほとんど2になっています。

そして一度、自分に求めるレベルを1から2に上げてしまうと、このタイプのアスリートはレベルを下げることに強い抵抗感を抱きます。それは罪悪感に近い心理です。

目標の半分の選択肢を設ける

0か2かでずっと2を選び続けた結果、2が続けられなくなり、燃え尽きて現役生活の危機を迎えてしまうのです。

オール・オア・ナッシング的な発想に陥らないためには、あらかじめトレーニング効果が0.5くらいのレベルを用意しておくといいです。私自身もそうしています。

「今日はなし!」にしてしまう根本理由

私が日課にしているランニングでは、自宅の周辺を10km走ることをルーティンにしています。所要時間は、ざっと1時間程度です。

もし10kmのコースしか用意していなかったら、1時間ないとその日は走るのを諦めるしかありません。

また、天候が悪かったり、疲れてあまり走りたくないと思ったりしたら、10km走る気がしないから「今日はなし!」にするでしょう。

やらなかった……
と凹まなくなる方法

そこで私はもう1本、短めの6kmのコースを用意しています。6kmなら所要時間は30分程度ですから、さほど時間がなくても走ることができます。

多少の悪天候でも、あまり走りたくないと思った日でも、ランナーなら6kmくらいは短い距離と感じ、走れるものです。

2つのコースを用意すると、走ろうと決めた日に「やらなかった……」とはならないのです。

モチベーションと運動効果をキープ

ウォーキングをするなら、以前の記事で紹介した40分の速歩以外に、30分や20分の速歩という選択肢も用意しておきましょう。

これも以前の記事で紹介したスロースクワットでも20回×2セットだけではなく、15回×1セットや10回×2セットといった選択肢を用意します。

その日の調子や都合に応じた選択肢があると思えば、気持ちも楽になって、結果として「やらなかった」「できなかった」が減らせます。それはモチベーションと運動効果を保つために、大いに役立つのです。

※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、体が若返るメソッドがたくさん掲載されています。