誰しも思い当たる人物がいるだろう。他人の貢献を自分の手柄にしてしまう同僚。部下を困らせるのを楽しんでいる上司。会議でどんな話題にも口を挟む知ったかぶりの人。職場で「嫌なやつ」を見つけるのは簡単だ。その嫌なやつがあなたでない限りは。もしあなただったら、全く気づかない可能性が十分にある。理由は明白だ。人々は否定的なフィードバックを与えることを嫌がる。だからあなたが他人を怒らせたり、イライラさせたり、不快にさせたりする行動を取っても、周囲の誰もそれを指摘することはない。否定的フィードバックを与えることがどれほど不安なものか理解するため、われわれの実施したある調査を例に考えよう。調査では2人の参加者に交渉してもらい、勝者は敗者にこうすればよかったのではないかというフィードバックを与えることにした。その結果、勝者の大半は、建設的なフィードバック(例:「あなたが本当に低い額でオファーしたから、手を打ちたいのだと思った」)ではなく、過剰に肯定的で批判の要素がなく、基本的に何の役にも立たないフィードバック(「あなたの交渉スキルは素晴らしい。本当に最高だったよ!」)を伝えた。