製薬Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

急成長から一転
中外製薬が減収減益に

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界4社。対象期間は2022年11月~23年3月の直近四半期(4社いずれも23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・中外製薬
 増収率:-13.3%(四半期の売上収益3122億円)
・武田薬品工業
 増収率:9.5%(四半期の売上収益9562億円)
・第一三共
 増収率:41.2%(四半期の売上収益3302億円)
・アステラス製薬
 増収率:16.6%(四半期の売上収益3543億円)

 製薬業界の4社では、武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬が増収となった。

 このうち4割超の四半期増収を果たした第一三共では、抗がん剤「エンハーツ」や抗凝固薬「リクシアナ」などが好調に推移し、23年3月期の通期決算でも前期比22.4%の大幅増収を達成した。

 一方、中外製薬は製薬4社で唯一の四半期減収となった。さらに、この四半期は営業利益が前年同期比47.4%減、純利益が同44.2%減と利益面でも苦戦した(※)。

※中外製薬は12月期決算、武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬は3月期決算

 中外製薬は前年度(22年12月期)は増収増益で着地しており、売上収益は同社初の1兆円超えを成し遂げていた。だが23年12月期は、上記の通り第1四半期(23年1~3月期)の段階で不調に陥っている。

 中外製薬の成長には、なぜ急ブレーキがかかったのか。次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、中外製薬の業績について詳しく解説する。