ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)

「自分を一方的に嫌ってくる人」への賢い対処法・ナンバー1Photo:Adobe Stock

Q. 周りに嫌われるのが怖いです

読者からの質問 思い切って行動をしようとしても、周りからのネガティブなリアクションが気になってしまい、なかなか一歩が踏み出せません。

 ジルさんの行動力の源泉は何でしょうか。

ジル・チャン氏 私自身も、周りの反応はものすごく気になります。行動する前は、「嫌われたくない」「失敗して笑われたくない」などと、ネガティブな感情がつい頭の中に渦巻いてしまいますよね。

 ただ、まだ実行に移していないことの結果を先読みして、心配ばかりしてもあまり意味がありません。もっと時間を有効に使うべきです。

 なので、もし「嫌われたくない」とか「失敗して笑われたくない」と思ったら、発想を転換して「嫌われないためには何ができるか」「成功するには何をすべきか」と、自分ができることに頭を使いましょう。

 そうすると、行動に移す前の「準備の質」を高めることができます。単なる推測にすぎないネガティブなフィードバックを気にして神経をすり減らすより、ずっといいのではないでしょうか。

「人に好かれたい」というのは人間の性(さが)です。実際、全員に好かれたいというのが本能だと思います。でも、同時に、それが実際には不可能だということもどこかでわかっているはずです。

 なので、かりにネガティブなフィードバックが100件中2件来ても、「2件しかなかったら大成功だ」と思えるように、自分に優しくしてください。完璧を追求する必要はありません。

 私も昔はすごく心配性でした。「自分を誤解してほしくない」「全員に好印象を与えたい」。そんな風に思っていました。でもそれは不可能です。どうしても一方的に自分を嫌ってくる人はいます。

 そのような人たちのことは、気にしていてもしょうがないので、思考の対象から外すのが一番です。全員から好かれるのは無理だと割り切って、自分の持っているリソースを最大限に生かして、できることに注力しましょう。