頭のいい人がしている「会議を生産的に変える」方法・ベスト1Photo by Wang Kai-Yun

「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏だ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? ジル・チャン氏に読者や講演参加者からの質問に答えてもらった。

「人をさえぎって話したくないです……」

質問 現在、私はリモートで広告会社で働いています。内向型の私としては、ミーティングやディスカッションが速いペースで進んでいるため、ミーティング中に自分のアイデアを上手く話すことが難しいと感じることがあります。とくにブレインストーミングやミーティング後の質疑応答のセクションでは、他の人をさえぎることを好まないため、まずは聞き手に回ることが多いです。しかし、話す準備が整ったときには、すでにほとんどのアイデアや質問が出されてしまっています。何かアドバイスはありますか?

ジル・チャン 内向型にとっては非常に現実的な問題ですね。

 私には、台湾の大手広告会社で働いている内向型の女性の友人がいます。彼女はディレクターで、大きなチームを管理しています。ご質問を彼女と共有したところ、彼女はとても共感する問題だと言っていました。

 彼女もかつて同じような問題に直面して、「自分は本当に広告が好きか? それでもこの環境で生き残りたいのか?」と自問したといいます。

 彼女の答えは「イエス」でした。 

 つまり、広告が大好きなので、自分のコンフォートゾーンから一歩出て、前に進む必要があると自分自身を奮い立たせたといいます。

ブレストではさえぎられるのが当たり前

 意識しておくべきことは2つあると彼女は考えました。

 1つは「その場のルールに従ってプレイすること」が、チームに認められる最善の方法だということ。

 またもう1つは、とくにブレインストーミングでは「意見がさえぎられるのは当たり前」だということ。ブレインストーミングでは、どんな意見も尊重されるべきです。ですから、意見を出すのも気軽な気持ちでいいですし、多少人の意見をさえぎっても大丈夫。反対に、さえぎられても気にする必要はありません。

 経験的に、彼女の会社では、とにかく自分の意見を述べることが重要だと思ったので、彼女は毎回、手を挙げて最初に発言するよう自分に課しました。

 彼女は、「最初に質問をするときは、他の人はまだ考えている。そんななかで質問するのであれば、考える材料にもなるため、どんな質問も愚問にはならない」といいます。

 まだみなが混乱している状態の中、最初に質問をして議論の材料を出すことは会議にとっても生産的ですし、自分にとっても有意義です。

 いつも最初に質問していると、マネージャーやまわりからは非常に積極的だと評価されます。また、質問した後は「すでに自分は話した」と思えるので、落ち着いて話を聞いて、さらに突っ込んだ意見を考えることができます。

事前に考えを整理して、意見を準備しておく

 また、ブレインストーミングでは難しいかもしれませんが、会議などでアジェンダが事前にわかっているときは、会議の前に準備しておいて、まず最初にいちばん自信のある考えや質問を1つ言うことです。

 内向型はその場その場で、即時のリアクションを取ることが苦手です。ですから、会議や議論がある際は、事前に考えを整理して、意見や言葉を準備しておくと便利です。その場でひねり出すよりも質の高いアイデアを出せるはずです。

 その意見が受け入れられたら、もっと意見を出しやすくなります。会議や議論が苦手な人は、そうやって自分のコンフォートゾーンを少しずつ広げていってみてください。