眠るように穏やかな米株市場にだまされてはいけない。今年上半期、米国株は静かに上昇し、S&P500種指数を14%押し上げた。一方、市場の変動性(ボラティリティー)の指標は、新型コロナウイルスが流行する以前から見られなかった水準まで低下している。Cboeボラティリティー指数(VIX)は14を割り込み、2020年2月以来の低水準に近い。VIXは「恐怖指数」として知られ、株価下落に対するヘッジとして使われることの多いオプション取引のボラティリティーを基に算出される。だがトレーダーは、水面下でボラティリティーが醸成されつつある兆候を見いだしている。例えば、オプション市場のポジション傾向や一部の個別銘柄の激しい値動きなどだ。