米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアの最高経営責任者(CEO)は、中国との半導体競争が激化するリスクを警戒していた。それでも結局は巻き込まれる羽目になりそうだ。これはエヌビディアにとって構造的な逆風になる可能性をはらむ。同社は最近、人工知能(AI)を巡る熱狂を追い風に「1兆ドルクラブ」(時価総額が1兆ドル=約144兆円超えの銘柄)の仲間入りを果たした。同社のみならず、半導体分野における中国の野心や、AIに賭ける中国企業もまた痛みを味わうことになるだろう。バイデン米政権は、AI向け半導体の対中輸出をさらに制限する措置を検討しており、エヌビディアもこうした製品を手掛けている。米国はすでに、エヌビディア製「A100」のような最先端AI半導体チップの中国向け販売について、認可取得を義務付けている。もし新たな規制が実施されれば、同社の「A800」チップも対象となる。A800は、昨年8月に導入された輸出規制の影響軽減を目的に設計したものだ。