米景気の足取りは表面的には力強く見える。第1四半期(1~3月)に生産は年率2%拡大した。就業者は年初来で160万人増え、年率では約2.5%増と、2019年の平均増加率のほぼ2倍となっている。しかし一部のエコノミストは、雇用市場が実際にはこれより弱く、景気はこれらの統計が示唆するよりもリセッション(景気後退)に近い状態にあるとの見方を示している。その理由は、就業者数の算出方法におけるねじれにある。就業者数のデータは、景気がはるかに弱いことを示す他の統計と一致しない、とエコノミストたちは指摘する。失業率は5月に0.3ポイント上昇し、3.7%となった。これは2020年に新型コロナウイルスの大流行で景気後退に陥っていた時期を除くと、単月では2010年以来の大幅な上昇だ。企業を対象とした調査における雇用指標の悪化と、労働時間の減少も、就業者数の動向が実際よりも遅れている証拠かもしれない。
米雇用統計の盲点、就業者数増は過大?
他の指標は雇用市場の弱さを示唆
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