各団体がサンクチュアリ教会と完全にイコールなのか、あるいは関係者や信者以外の活動家などと連携した混合部隊なのかはわからない。サンクチュアリ教会がもともと属していた統一教会は、古くから関連団体「国際勝共連合」等を通じて日本の保守活動家たちと連携し人脈を作ってきた。サンクチュアリ教会も統一教会時代の人脈や実績を活かして外部の保守活動家と連携していると見るのが自然だろう。

独自路線を突っ走る
サンクチュアリ教会

 サンクチュアリ教会が統一教会から分派したのは2015年。教祖・文鮮明の死去後に教団内で起こった後継者争いの影響で、鮮明を教祖、7男・亨進氏を直接の指導者として設立された。日本では宗教法人ではなく一般社団法人「日本サンクチュアリ協会」が正式名称で、法人設立は2016年である。

 彼らの「アノンぶり」は、むしろ本拠を置くアメリカでの活動の方が活発だ。日本サンクチュアリ協会の活動はアメリカ本部の動きに呼応したものと捉えて良さそうだ。

 公式サイトによると、アメリカペンシルベニア州に本部を置き、現地では「サンクチュアリ教会(Sanctuary Church)」と名乗っている。指導者である亨進氏もアメリカで活動している。

 Qアノンによる議事堂襲撃事件の直前には議事堂前の広場で抗議集会が開かれており、亨進氏は自らその集会に参加。襲撃には加わっていなかったようだが、混乱する現場の様子をユーチューブで公開している。

 アメリカのサンクチュアリ教会は、銃を持つ権利を主張する団体としても知られる。銃を聖書に登場する「鉄の杖」として宗教的に神聖なものとすら捉えている。

 2018年3月2日には『ワシントン・ポスト』が、同年2月末にサンクチュアリ教会の合同結婚式の様子を伝えた。参列者たちはライフル銃「AR15」などを持ち、銃弾をつなげて作った冠をかぶる者もいた。

 私とともにカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を運営し、統一教会問題や反ワクチン問題を取材しているジャーナリストの鈴木エイト氏は、サンクチュアリ教会と銃の関係をこう語る。

「統一教会は多くのグループ企業を擁しており、その中には銃メーカーもあります。もともと文鮮明も銃が好きで、彼の存命中から統一教会は開発や販売を手掛けてきた。日本にも古くから統一教会系の銃砲店があります。文鮮明の死後、妻・韓鶴子と子どもたちの間で後継者争いが起こり、韓が後継者として実権を握りました。一方で、文と韓の間に生まれた14人の子ども(3人はすでに死去)のうち4男の文国進が銃メーカーのカーアームズ社を受け継ぎました。彼が、分派してサンクチュアリ教会の指導者となった7男の亨進を経済的に支援しています。