台湾の人々は、ウクライナで起きた戦争がどう展開するかをつぶさに追っている。彼らのほぼ誰もがウクライナの大義に共感を抱くが、台湾自体の将来をめぐる結論は大きく割れている。一方では、社会が固く結束すれば、一見無敵に思える敵でも打ち負かすことができるという教訓だと捉え、懸念される中国の侵略に抵抗する台湾の取り組みを鼓舞するものだと受け止めている。他方では、ウクライナの各都市が煙に包まれる画像から、正反対の教訓を導き出す人々もいる。戦争は最悪の事態であり、たとえ痛みを伴う妥協が必要でも、中国の逆鱗(げきりん)に触れないよう台湾はあらゆる手を尽くすべきという考え方だ。二つの対立する見解は、来年1月に予定される台湾総統選挙で終始争点となるだろう。中国の軍事力が拡大する中、台湾の民主主義政権がいかに防衛を見直すべきかを方向づけることになる。台湾内部で戦わされる議論や軍備強化への決意は、仮に中国が人口2400万人と世界の先端半導体生産能力の大半を有する台湾の制圧に乗り出した場合、米国が軍事的にどの程度関与するかにも影響するのは必至だ。
台湾が迫られる選択「ウクライナか、香港か」
ロシアのウクライナ侵攻から台湾が得た二つの対立する教訓
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