欧州全体で国防予算が増える中、各国は難しい選択を突き付けられている。自国で開発した兵器に資金を投じるべきか、それとも米国製兵器の購入を続けるべきか。スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、昨年の欧州諸国の国防支出は13%増え、3450億ドル(約49兆円)に達した。これは冷戦終結以降で最も高い伸びだという。ただ支出の多くは米国の防衛関連企業へのもので、こうした構図が北大西洋条約機構(NATO)を支える産業界のつながりを形成している。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この状況を変えたいと思っている。F35戦闘機から地対空ミサイルシステム「パトリオット」に至るまで欧州があらゆる兵器の供給を米国に依存していることは、米国製の装備品を受け取るのに欧州が順番待ちをする必要はないという前提に基づいている、とマクロン氏は言う。米国が太平洋地域重視の姿勢を取り、米大統領選が迫る中で、同国の優先事項が変わる可能性があると同氏は警告する。最近開かれた欧州の国防相会合では、武器を今日輸入することによって「われわれは明日の問題を作り出している」と語った。