アダム・スミスが18世紀に示した自己利益に関する理論は現代にも通用するPhoto:Jeff J Mitchell/gettyimages

 企業がコスト上昇を上回るスピードで値上げをしていた頃、それは「強欲インフレ」と呼ばれていた。だが利幅が極めて小さくなった今、企業は突如として慈善事業家のような存在に見え始めている。

 米企業の4-6月期決算発表が始まったが、見たところ今回の決算シーズンは著しく悪いものになりそうだ。リフィニティブのアナリスト調査では、S&P500種指数構成銘柄の1株利益は前年同期比8.1%減と予想されている。決算シーズンが本格化する頃にはほぼ毎回、予想が悲観的すぎたことが明らかになるため、今回もおそらくここまで悪い結果にはならないだろうが、それでも減益となる可能性は高い。また1株利益は通常、自社株買いなどによる株式消却で、実態よりもよく見えがちなことも覚えておきたい。S&P500企業の純利益は11.4%減少が見込まれている。

 一方、売上高は0.9%の減少にとどまったとみられている。これは利益率の低下を示唆しているが、まずは売上高の数字がどれほど悪いかを考えてみよう。