BMWは現在、水素燃料電池SUV(スポーツ用多目的車)「iX5」を携えて世界中を回っているPhoto:Future Publishing/gettyimages

 電気自動車(EV)は、テスラ方式のバッテリーを搭載したEVと、トヨタ自動車の「MIRAI」のような水素燃料電池を搭載したEVのいずれがよいのか。この古くからの議論は、ここ数年はバッテリー派の圧勝に見える。では企業はなぜ今も水素自動車に投資し続けているのか。

 冗談めかした答えは、水素を使う燃料電池EVは実際の乗客を運ぶことよりも、政治的メッセージを伝えるために設計されたのではないかというもの。真面目な答えは、路上輸送を脱炭素化する普遍的な解決策としてバッテリーEVにはまだ多くの疑問があるということだ。

 英石油化学大手イネオス・グループは、最も新しく燃料電池EVを発表した企業だ。ジム・ラトクリフ氏が所有する非公開企業イネオスの自動車部門は13日、昔ながらのオフロード車「ランドローバー・ディフェンダー」の流れをくむ「グレナディア」の燃料電池モデルを、英国の地方で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで初披露した。