トヨタ自動車は2023年6月、水素などの次世代技術を一挙に公開した。その中核はBEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)だ。FCVについては欧州、中国での商用車が当面主流だとしているが、日本での乗用FCVの普及期はいつ頃なのか?(ジャーナリスト 桃田健史)
明らかになったBEVとFCVの量産技術
膨大な新技術を披露した真意とは
トヨタ自動車の新型車といえば、直近では5代目「プリウス」や16代目「クラウン」など、製品イメージを刷新したスポーティでスタイリッシュなボディデザインが注目されている。
一方、「究極のエコカー」と形容されたこともあったFCV(燃料電池車)については、日本メーカー製は現状、トヨタ「MIRAI」のみだ(商用車向けでの各種発表は他にもある)。今後の燃料電池乗用車の量産については2023年秋に「クラウンセダンFCV」が登場することが明らかになっているだけで、乗用車の主流はBEV(電気自動車)にシフトするという見方が市場では強い。
そうした中、トヨタは、同社東富士研究所(静岡県裾野市)で6月8日に実施した、「トヨタテクニカルワークショップ2023」で、FCVやBEVを含めた次世代技術を一挙に公開した。
次いで、7月上旬にはBEV、また同中旬には水素に関して同テクニカルワークショップに関連したメディアとのラウンドミーティングをオンラインで実施した。
次ページ以降では、トヨタの水素戦略の実像に迫るとともに、燃料電池車「プリウスFCV」や「GR86 FCV」登場時期について筆者の考えを明らかにする。