定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されます。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
要注意! 年金手続きはやり直しができず、カットされると後からもらえない!
定年退職後、知り合いの企業で役員として働きはじめたAさん(66歳)。この会社で、70歳まで働く予定です。
Aさん、今猛烈に後悔しています。
というのも、65歳になったときに年金をもらう手続きをしたのですが、お給料が高いので年金を全額カットされてしまったのです。
Aさんの年金は月額16万円、1年間で192万円です。退職する70歳までだとトータルで960万円ももらい損ねることに!
年金は一度手続きをすると、やり直しはできませんし、カットされた年金は後からもらうことはできません。
どうせもらえないなら、年金スタートを70歳としていれば、年金額は42%UP、年間で約80万円も増やすことができたのです。
年間80万ということは、10年で800万円、20年で1600万円の差です。これは泣いても泣ききれません。
働きながら年金をもらう人は、給与と年金の合計額が48万円を超えると全部または一部の年金がカットされてしまいます。
一定の年齢以上の人だけがもらえる「特別支給の老齢厚生年金」はもちろん、65歳より早く年金をもらい始める「繰り上げ」受給の人も、65歳からもらう人もしかりです。
これでは、「定年後も力いっぱい働きたい!」という人は、「特別支給の老齢厚生年金」をもらい損ねたり、年金を早くもらいたくても損になる可能性があります。
「厚生年金」に加入せず個人事業主として働く
でも、実は、給与をもらいすぎると年金がカットされるのは、「厚生年金」に加入して働いている人だけです。
厚生年金に加入さえしなければ、いくら稼いでも年金を減らされることはありません(厚生年金に加入しないということは、会社の社会保険に加入しないということです)。
つまり、個人事業主として、会社と業務委託契約などを結ぶということです。社員としての雇用契約ではありませんが今までの知識や経験を活かして同じように働くことができます。
会社側にとってもメリットがあります。社員ではないので、社会保険料を負担しなくてもよくなりますし、必要がなくなればいつでも契約を解除することもできます(これはこちら側にはイタい話ですが)。今は、いろいろな働き方が認められ始めていますので、会社に「業務委託契約」での働き方を申し出てみると、了解を得られる可能性はあると思います。
社会保険に加入していない個人事業主のもとで働く
自分が個人事業主として業務委託契約を結ぶ以外にも、社会保険に加入しない方法があります。社会保険に加入していない個人事業主などのもとで働く方法です。法人だと、社長1人しかいない小さな会社でも社会保険への加入が義務付けられていますが、個人事業は、従業員が5人未満であれば社会保険に加入する義務はありません。その事業者が社会保険に加入しているかどうかは、会社案内などで確認できます。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。