原子力発電所の安全性を審査する原子力規制委員会が、東北電力東通原発(青森県)の敷地内の断層について、「活断層の可能性が高い」とする判断を示した。
規制委は、昨年12月に実施した現地調査などを受け、敷地内を南北に走る断層2本について、過去11万年以内に動いた活断層の可能性が高いと指摘した。東北電力側は一貫して、風化した地層が水を吸って膨らんで地層を押し上げた「膨潤」を主張していた。しかし、規制委が「根拠に乏しい」として退けた形だ。
断層は原子炉建屋の真下を通っているわけではなく、即座に廃炉につながるものではないが、2015年7月を目標としていた再稼働は遅れる可能性が高くなった。
東北電力は追加調査を行い、今年12月をめどに報告書をまとめる考えだが、ただでさえ電気料金の値上げを申請したばかり。調査による負担増は厳しい経営状況に追い打ちをかけることになる。
「(規制委は)このまま全部止めるつもりじゃないのか」
電力会社幹部の1人は諦めたように話す。規制委は昨年10月以降、原発敷地内の断層調査に取り組んでいる。すでに現地調査を行った3施設を含め、今春までに6施設で調査を実施する予定だ。経済産業省内でも「6施設は再稼働が確実に遅れる」との声が聞こえる。
実際、調査に着手した施設では東通原発のほか、日本原子力発電の敦賀原発で「活断層の可能性が高い」との判断を下した。関西電力大飯原発については、見解が分かれたものの、活断層との指摘をする委員もいた。関電は7月中旬まで再調査し、その後、活断層の有無が判断される予定だが、いずれにせよ時間をかけた追加調査が必要となる。
このほか規制委は、かつての規制機関である原子力安全・保安院時代に、現地調査の必要性が指摘された東京電力柏崎刈羽原発など5施設についても、今春以降に断層調査をするか検討する予定だ。