定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されます。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
「親からの相続はアテにしない」という意識は立派だが……
親の相続財産をあてにしろ!と大きな声でいうのは、はばかれますが「親の財産について全然知らない」という人には是非「相続財産」にも関心を持ってもらいたいと思うのです。
うっかりすると忘れがちですが、親からの遺産は、退職金と並んで、大きな金額になる可能性のある、人生の二大収入。大切な老後資金のひとつだという意識をもちましょう。
とはいえ「親と相続の話をしたいとは思っても、どう切り出していいかわからないし、気がひける」と感じている方はとても多いもの。そんな方にとって定年退職は、相続について親や親族と話し合いを持つよいきっかけになります。「退職を機に自分と親の老後のことを考えようと思うので、相続も含めて話し合いたい」と自然な感じで切り出してみてください。
様々な業者が高齢者の資産を狙っている!
親の財産に関心を持つということは、親の財産を守る、つまり将来自分たちがもらう財産を守る、ということにもつながります。
近年、様々な業者が高齢者の資産を狙っています。
「相続対策に〇〇が有効です」「お子さんのために準備をしておきましょう」と言われ、親もよく理解しないまま不動産や金融商品など高額なものを買ってしまったり、高額なコンサル料を請求されたりする例はたくさんあるのです。実は、だれでも知っている名の通った企業も、悪気があるのかないのかは別として、このように高齢者の資産をターゲットにした営業を活発にしています。
「〇〇銀行だから安心だ」と親が安易に契約をして、財産を減らすようなことになれば、泣いても泣ききれませんよね。
もし財産があるのに、何の対策もしないでいると、思わぬ多額な相続税がかかってしまったり、遺産争いのモトになってしまうこともあります。相続でもめると、家族仲が悪くなるだけでなく、相続税が高くなってしまうことも。「うちは資産家でもないし相続なんて関係ない」と思っている人もいるかもしれませんが、家庭裁判所に申し立てをした相続トラブルの3割が「遺産額1000万円以下」という統計結果も出ています。ほとんどの人にとって相続は「他人事(ひとごと)」ではありません。
相続は、金額が大きくなる可能性もあるだけに、税金の額も大きくなります。対策をしておくのとおかないのとでは、数千万円の違いが出てくることも多々あります。親御さんはすでに高齢でしょうから、親だけで、相続対策をするのは、無理があると思います。親が築いてくれた資産を守り、できるかぎり多くを受け継げるようにするのも、子どもの責任ですから、親に資産管理や相続対策の話を切り出すことを、後ろめたく思う必要は、全くないのです。相続税や贈与税は2024年から大きく変わります。本書ではその制度変更も見据えて、相続対策のポイントをお伝えしています。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。