子どもから大人まで数学を苦手とする人は非常に多いのではないでしょうか。ましてや高校数学ともなるとほとんどの人が挫折してしまった経験を持っているでしょう。しかし、高校数学の基礎は丁寧に学べば特別難しいものではなく、同時に得た知識は私たちの生活にも大きく役立ちます。そんな高校数学の超入門書として書かれたのが『【フルカラー図解】高校数学の基礎が150分でわかる本』です。本記事でははじめての人から大人の学び直しまで1人で高校数学が学べる本として発刊された本書をもとに米田氏のオリジナルコンテンツをお送りします。

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数学を知らなければ人生損?

 近年、数学の学び直しがブームになっていますが、皆さんの中には「大人が数学をやる意味なんてないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

 しかし、筆者は文系・理系問わず、数学をやることは人生にとって間違いなく得になると考えています。なぜなら数学を身に付けると、大きく分けて3つの利点があるからです。

利点1:実社会や日常生活で役立つ

 数学を身に付ける1つ目の利点は、実社会や日常生活で役立つことです。いくつかの具体例を以下に示します。

例1:保険

 まずは保険の例を考えてみましょう。もしある保険に入ると、将来事故に遭ったときは100万円お金が入ってきますが、事故に遭わなかった場合は3万円損をします。それでは、将来事故に遭う確率が10%だと思っているとき、あなたは保険に入るべきなのでしょうか。

 もし高校1年で習う「期待値」の計算方法を知っていれば、保険に入ったときの利益が平均して100万×0.1-3万×0.9=プラス7万円であるため、保険に入った方が良いと考えられます。※1

図
※1:もちろん、余裕を持って保険に入れるだけの資金力があるという条件は必要です。

例2:投資

 次に投資の例を考えてみましょう。あなたが上手く投資をすると、1年で所持金を1.06倍に増やすことができます。あなたは所持金を3倍にしてFIREを達成したいです。何年かかりますか。

 もし高校2年で習う「対数関数」を知っていれば、答えがlog1.063という式で計算できることがわかります。((注意:一部外部配信メディアでは、仕様上log1.063などの形で表示されてしまいますが、本来は次の形です。「log 1.06(←下付き文字)3」)

 そしてこれをExcelで計算すると18.85と出るので、18.85年で所持金を3倍に増やせるとわかります。

例3:データ分析

 次にデータ分析の例を考えてみましょう。あなたの会社には7人の新入社員がおり、今期の評価は以下のようになっています。それでは、「就活の結果」と「今期の評価」にはどれくらい強い関係があるのでしょうか。

図

 もし高校1年で習う「相関係数」の計算方法を知っていれば、就活と人事評価にはそれほど大きな関係がないことがわかります。※2

 同時に、この会社では仕事ができる人を就活でちゃんと採用できていない可能性があることもわかります。

※2:相関係数は約-0.1です。