ホテルチェーン世界最大手の米マリオット・インターナショナルがインバウンド需要を取り込み、日本市場で好調だ。同社の日本・グアム担当エリアヴァイスプレジデント、カール・ハドソン氏に新型コロナ禍の収束を受けたホテル需要の動向に加え、今後の日本市場の開拓戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 梅野 悠)
新型コロナ収束で予約増
景気後退懸念は影響せず
――5月から新型コロナの感染症法上の位置付けが5類へ移行しました。インバウンドの回復も堅調です。足元の事業環境をお聞かせください。
コロナ前の2019年と比較すると、客室平均単価は10%を優に超える比率で伸びています。また、現在の客室稼働率については、いずれのホテルもおしなべて7割前後で、紛れもなく、1年前と比べてもパフォーマンスが非常に堅調で強力なものになってきています。
5類になったことでさまざまな制限が解けました。そのタイミングで、予約の入るペースが急ピッチで上がっていて、明らかにビジネスに対してプラスの影響があります。急速にビジネスは回復しており、中国からのお客様も増えてくるでしょうから、さらなるプラスの影響が見込めます。
――一方で、世界経済の景気後退懸念もありますが、先行きをどのように見ていますか。
そういった状況や兆しは私たちのビジネスの数字には表れていません。旅行に対する非常に強い需要があるのだと思います。
やはり、旅行者の皆さんの気持ちや、心の持ちようというのが変わってきているのではないかと思います。いわゆる消費財などのいろいろなモノを購入するより、旅行などで思い出をつくる、それに対してお金を払おうという人が増えてきているのではないでしょうか。
もちろん、コロナの間、長期的に旅行できなかったという鬱屈していた需要が放出されているような面もあると思いますが、マインド変化の要因も大きいと思っています。やはり私たちのビジネスに不景気の兆しはありませんし、いまだかつてない強力な需要が生じているのではないかと思います。
――今春にはマリオット系列の8つの最上位ブランドが、日本で全て出そろいました。今後、日本市場をどう開拓していくのでしょうか。
次ページでは、ハドソン氏がマリオットのアフターコロナの日本市場での成長戦略を明らかにする。需要開拓の“切り札”となるのはマリオットが豊富に抱えるホテルブランドだ。