「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…商学部の前身である商学科初代科長で、早稲田実業学校の校長を務めた天野為之。実業学校ということで、商学部とのつながりが歴史的に深い

4月から学校長となったマーケティング研究の第一人者は、早実をどのように変えていこうと考えているのだろうか。大学の系列校間での教員や生徒、前回取り上げた海外留学や短期研修など、鍵となるのは「交流」である。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)

「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…
恩藏直人(おんぞう・なおと)
早稲田大学系属早稲田実業学校学校長(高等部中等部校長)
早稲田大学商学学術院教授

 

1959年神奈川生まれ。早稲田大学商学部卒業後、同学部助手、専任講師、助教授を経て、96年教授。早稲田大学商学学術院長、商学部学部長、公認会計士試験委員、早稲田大学常任理事などを歴任。マーケティング研究の第一人者として著書多数。

 

 

 

 

まずは高大接続の強化から

――校舎の入り口に、大隈(重信)さん以外にも銅像がありました。

恩藏 天野為之先生です。早稲田実業学校(早実)を事実上立ち上げた第2代目校長です。東京専門学校が早稲田大学に改組された際に、新設された商科(のちの商学部)の初代科長でもあります。

――早実は商学部とゆかりがあるわけですね。学校長は商学部の教授との兼任ということですが、任期は。

恩藏 任期は2年です。理事は外れましたが、教授は兼任しているので、こちらに通うのは週2回ほどとなります。以前、大学の理事を務めながら、早実の理事や評議員を兼ねていたこともあるので、この学校には非常にシンパシーを感じています。

――学校長として、何に取り組みたいとお考えですか。

恩藏 高大接続を強化したいと思います。

――大学の単位を高等部在学中に少し取れる仕組みがありますね。留学する際などにも便利と思いますが。

恩藏 大学のGEC(グローバルエデュケーションセンター)に全学共通設置科目というものがあります。早実生も、一般の授業のない水曜の午後と土曜の授業なら受けることができます。

――先取り学習をして、大学への飛び級ができたら画期的ですね。文部科学省も推進する方向ですし。

恩藏 学部と大学院(修士課程)を5年間で終えるコースはすでにあります。商学部にもありますが、新しい制度の導入にあたっては、生徒にとってニーズやメリットがないといけません。今後、可能性を探っていきたいと思います。

――ぜひ、早稲田で飛び級を実現していただければ。他にも高大連携の活動はありますか。

恩藏 実は、私は大学のラグビー部長も務めています。

――ラグビーのグラウンドが東伏見から上井草(杉並区)に移ってきて、お汁粉屋さんだったAOYAGIが早大ラグビー部御用達になっていますね。

恩藏 ラグビー部の例で言いますと、大学のラグビー部OBが高大連携の一環で、早実のラグビー部の指導に当たってくれています。ただし、部活動の高大連携は、それぞれの部の考えがありますので、一概には言えません。

――そういえば、グラウンドではラグビー部が練習していました。隣には野球部もいました。

恩藏 あれは軟式野球部で、硬式野球部は、南大沢(八王子市)にある専用グラウンドで練習しています。ここですと、打球がフェンスを飛び越えてしまうからだそうです(笑)。

「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…赤い椅子が印象的な学食。「早実プレート」ほかメニューも充実
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