「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…卒業生である小室哲哉さんの寄付で造られた記念ホール。小室さんの手像も飾られている
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他校との交流はグループ校から

「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、88年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――進学校など、他校との連携では何かお考えですか。

恩藏 全く縁もゆかりもない他校と何かするというよりも、早稲田のグループ校間で何かできないかなと考えています。

――それでしたら、慶應義塾ニューヨーク学院への対抗で設立された、同じく系属校の早稲田渋谷シンガポール校がよろしいのでは。

恩藏 先ほどお話しした国際交流の関係で、シンガポール校の生徒と行うのはいいですね。どのような可能性があるのか、考えてみたいと思います。

 他には、同じく系属校の早稲田佐賀から、短い期間でもいいから、教員の交流ができないかというお話もありました。違う学校の文化を吸収したいと。

――生徒ではなく、教員ですか。早稲田佐賀は、在校生の半分が首都圏出身といいます。早実が難しくなりすぎたせいかもしれませんが(笑)。あちらには宿舎もありますし。

恩藏 こちらから行く分にはよいのですが、迎え入れると滞在費の負担もあるのでその検討は必要となります。2~3週間であっても、教員の交流は実現したいですね。

――卒業生の関係では、校内に小室哲哉記念ホールがありますね。

恩藏 もう20年たちましたので、音響設備の更新時期に来ています。1学年450人を収容できますので、音楽以外でもさまざまなイベントなどで活用しています。なお、入学式は大隈講堂で行いますが、卒業式は国分寺の体育館で行います。

――入学式は大隈講堂なのですか。

恩藏 その理由は分かりませんが、早稲田のグループ校に入ったということを入学者や保護者に実感してもらえるとは思います。初等部も中等部も高等部も昔からそうですね。

――ところで、先生はマーケティング研究の専門家ですが、ずっと商学部に所属していたのですか。

恩藏 商学部から大学院に進み、助手も務めました。その間、日本経済新聞の消費経済研究所にも非常勤研究員として所属し、10年間ほど企業を取材して記事を書いていました。

――記者経験もあるわけですか。

恩藏 最初のうちは原稿を書くと、デスクから真っ赤に添削されて戻されました。日経新聞で学んだことは多かったと思います。主に、企業の調査や分析を行いましたが、この時のネットワークがその後の研究でも生きています。

――記者経験とマーケティングの観点から、取り組みたいことは何でしょう。

恩藏 最初に申し上げたように、多くの人が今日の実態とはかけ離れた、昔のままの早実をイメージしています。発信力が足りていません。もっと学校から、発信していきたいと思います。

 これは、国分寺市長にもお渡ししてきましたが、JTBパブリッシングの「るるぶ」とタイアップして中等部の2年生が作成した、国分寺市のガイド小冊子です。ここには、生徒たちの知恵と工夫が詰まっています。早実での学びの一端を感じ取っていただけると思います。

「早実」はどう変わるのか?高大連携、グループ校間交流の強化…中等部の生徒が編集した国分寺市に関する情報誌