セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武売却問題で、セブン&アイがそごう・西武の取締役枠を増やし、3人を送り込んでいたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。セブン側の取締役が完全に過半数を占め、そごう・西武売却案の決議を通す狙いだ。また、そごう・西武の労働組合がストライキを31日にも実施する方針を固めたことも判明した。そごう・西武売却は最終局面を迎え、混沌に拍車がかかっている。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
そごう・西武の取締役枠を増員
売却案決議のためセブン側が過半数確保
セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武売却問題で、セブン&アイがそごう・西武の取締役枠を増員し、新たに3人を送り込んでいたことが判明した。セブン側の取締役が完全に過半数を占め、そごう・西武売却案の決議を通す狙いだ。25日夕にもそごう・西武の役員人事を発表する見通し。そごう・西武売却は最終局面を迎え、セブン&アイがなりふり構わず“奥の手”を出した格好だ。
そごう・西武を巡っては、親会社のセブン&アイが2022年11月、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに2000億円規模で売却する方針を決めていた。だが、労働組合や、地権者などとの調整が難航し、売却の決議は複数回見送られてきた。
家電量販店のヨドバシホールディングスの出店に対する懸念に対しては、セブンは7月に関係者に譲歩案を提示したものの、実態は「まやかし譲歩案」として、そごう・西武の理解も得られなかった(『セブンのそごう・西武売却が重大局面、ヨドバシの西武池袋1階出店断念は「まやかし譲歩案」』参照)。それを受け、セブンはそごう・西武の林拓二前社長を事実上“解任”した。
23日には労組と経営陣の協議を実施したほか、池袋本店がある豊島区など地元への説明会も実施したものの、労組との議論は平行線をたどったほか、豊島区からも「これで決着とは思っていない」などとする声がでるなど、調整がスムーズに進んでいるとは言い難い。
そして、セブン側が踏み切ったのが、“奥の手”だ。これを受け、労組も31日にストを強行する方針を固めた。次ページでは、セブンの奥の手の詳細とともに、組合のスト計画の詳細も明らかにする。