今、世界的に注目を集めているのがエピクテトスという奴隷出身の哲学者だ。生きづらさが増す現代において、彼が残した数々の言葉が「心がラクになる」「人生の助けになる」と支持を集めている。そのエピクテトスの残した言葉をマンガとともにわかりやすく紹介した『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』が日本でも話題だ。今回は、本書の中から、「『こんなに苦労することなんかなかった』などとは決して言うな」というエピクテトスの言葉をマンガとともに紹介する。(マンガ©かおり&ゆかり)

「事前の心構え」で人生の不快感は大きく減る

エピクテトス人生の授業。登場人物紹介4名。
あーあ…浴場のお供か。それはゼニムスの仕事ではなかったのかね。あいつ体調を崩して。そういうことか。はあ、なんだか気が重いです。なぜじゃ。もうご主人様のことは怖くないんじゃろ。そうですけど、あのご主人様のことですから。
おいちゃんと盗まれないように見ておけよ! そのために来たんですけど。おいちゃんと見てただろうな。だから盗まれていなんですけど。なんだかわけもなく怒られそうで。と言ってもお供しないわけにはいかないし。
ニウスよ君は素晴らしいじゃないか! 何がですか?君はもうすでに起こりうる様々なことを考えておるのじゃから。えっまあ。もし実際にそのようなことが起こったとしても、事前に心構えをしておけばむやみに嫌な気持ちにならずに済むというわけじゃな。ということは君が帰ってきてからわしも愚痴を聞かずに済むということになるな。はははそうですね。

(本原稿は、『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』からの抜粋です)